茨城県北地域の食材を使用した料理を提供する飲食店、旅館・ホテル経営者やシェフが集まり、茨城県北地域の未来を見据え、ともに学び、情報共有しながら価値を共創していく、「茨城県北ガストロノミープロジェクト」がはじまりました。

「ガストロノミー」とは、なかなか耳馴染みのない言葉かと思いますが、日本語では「美食学」と訳されることが多く、食事・料理と文化の関係を考察する意味で用いられます。しかし、「美食学」にしても、「食事・料理と文化の関係を考察」にしても、人それぞれに解釈の違いがあり、一体何なのか結局わからなくなってしまいそうです。

そんな、ガストロノミーというテーマに関して、茨城県北地域独自の定義をつくり、食文化を発信していこうとする事業が「茨城県北ガストロノミープロジェクト」です。その内容は、計3回のワーキンググループ、グループメンバーを対象にしたコンペティション、コンペティションで表彰された飲食店・旅館を巡るツアー…と、盛りだくさんです。

プロジェクトにおけるワーキンググループをプロデュースするのは、株式会社自遊人・クリエイティブディレクターの岩佐十良(とおる)さん。岩佐さんは雑誌『自遊人』編集長という肩書もさることながら、新潟県南魚沼市などのエリアにおいて、雪国の「食」の魅力を「永久に守り受け継いでいきたい」という想いから地元の有志によってはじめた「雪国A級グルメ」事業や、自遊人でプロデュースした「里山十帖」等、ご自身でも「ローカル・ガストロノミー」を実践されている第一人者です。今回のプロジェクトには欠かせない人物として依頼をし、快く承諾いただきました。

さて、その第1回目のワーキンググループが9月4日、日立市の「うのしまヴィラ」で開催されました。ワーキンググループのスタートは記念撮影から。この日は朝から小雨がぱらつく日でしたが、撮影した時間は雨もあがり、皆さん笑顔で記念撮影。それで気がほぐれたのか、和やかな雰囲気の中で会ははじまりました。

冒頭のご挨拶は、茨城県県北振興局の安達美和子さん。本プロジェクトが昨年から始動したプロジェクトで、県北地域の食や資源などのリサーチを主に行ってきたことをふまえ、今年の活動は「学びと実践」と位置付け、一緒に県北ガストロノミーを進めていきたいと、参加メンバーへの激励がなされました。

その後、岩佐十良さんの講演が行われました。講演の目的は、「茨城県北ガストロノミー」の定義を明確にし、メンバー同士が共通認識を持つこと。それには、雑誌『自遊人』の取材や、リサーチなどを通じて積み上げられてきた「理論」と、ご自身で培ってこられた「実践」をリアルに伝えることができる岩佐さんの講演には、何よりも説得力がありました。

「ローカル・ガストロノミー」とはいったい何なのか。なぜ、「里山十帖」にたくさん人が来るのか。ガストロノミーを語るうえで欠かせない「歴史」。「食」で変えられることは何か。
重要なことは「モノ」から「コト」ではなく、「トキ」へ…。ここでは書ききれないほどの情報量で、約80分間の講演時間を設けていましたが、その時間ではとても足りないくらいの理論と実践のインプット。ふと覗くと、とあるメンバーの手帳にはメモがびっしりと書かれていました。

インプットの後に重要なのが、アウトプット。聞いたことについて、自分なりの見解を落とし込み、それを他の人に伝えること。メンバーそれぞれが実践してきたことや、講演で感じたこと、これから行っていきたいことなどを自己紹介と共に話しました。

その後、事務局から第2回ワーキンググループの内容説明と、第3回の講師の発表が行われ、ワーキンググループ第1部は終了。第2部の懇親会へと移っていきました。

懇親会の乾杯は、会場を提供してくださった「うのしまヴィラ」館主・原田実能さん。原田さんは、日立市の街を発展させていくことにとても積極的で、「茨城県北ガストロノミープロジェクト」にも、昨年度から参加。それだけではなく、日立市の街を舞台にした映画『ある町の高い煙突』を応援する会の事務局長も務めていらっしゃいます。乾杯のあとは懇親会。事務局では懇親会の内容は特に決めておらず、場が白けてしまわないか不安でしたが、お酒も無いのにあちこちで名刺交換とともに会話に花が咲き、終了予定時刻を過ぎても帰らない人がいるほどでした。

盛況のうちに終了した「茨城県北ガストロノミープロジェクト」第1回ワーキンググループ。しかし、プロジェクトは始まったばかり。今回の講演を聞き、各々のメンバーが茨城県北地域をどうやって盛り上げていくことができるか。事務局は、その「火付け役」であり、「相談役」であり、時には「お客さん」の立場として支援していきたいと思います。