2020年1月16日。茨城県北ガストロノミープロジェクトのワーキンググループメンバーによるコンペティションが、茨城県庁で開催されました。

コンペティションの審査内容は、
①1品以上の新規メニューを開発していること
②県北地域の産品を使用していること
③計3回実施したワーキンググループ(勉強会)を受けて、新しい取組を実践していること(生産者との連携、調味料の見直しなど)です。

果たして各メンバーの取り組みはどのようなものだったのか…

汐騒の宿 暁園


プレゼンのトップバッターは、北茨城市『汐騒の宿 暁園』代表の仁井田 康昌(にいだ やすまさ)さん。いつも「ガハハ」と笑い、メンバーの空気を和らげてくれる仁井田さんですが、今回は緊張しているのか、いつもの陽気な笑顔が若干引きつっていました。

プレゼンでは、ワーキンググループで学んだ「その地域の海と土の良さをあるがままに活かすこと」を実践し、「あんこうのまるごと白菜包み」と「あんこうのコラーゲンスープ」という、新たに開発した取り組みを披露。

あんこうのまるごと白菜包み

 

あんこうのコラーゲンスープ

珍しい「あんこうの胃袋」を使用したメニューに、審査員からも胃袋の触感や味について質問が飛び出していました。場を盛り上げ、トップバッターとしての役目を務めていただきました。


手打ちそば 赤土


次は、常陸太田市の『手打ちそば 赤土(あかつち)』蕎麦主、海老根 孝(えびね たかし)さん。晴れ舞台だからと、いつも着用しているという前掛け&和帽子のうえに、法被をはおって登場。

店名でもある常陸太田市赤土地区の郷土料理「つけけんちんそば」の歴史の説明や、同じく市内の蕎麦店の店主であるお母さまが長年行われてきたそば店のこだわり、お母さまから「新しい蕎麦料理をつくってくれ」と託され、誕生した「蕎麦プリン」のお話などをプレゼンされました。

海老根さんは、この茨城県北ガストロノミープロジェクトに参加して地域の食文化は貴重な財産だと感じたそうで、積極的にお母さまに昔の食文化について聞くようになったそうです。今後はそれをレシピ開発にも活かしていきたいとお話ししていました。

そばプリン

 

北茨城ロハス 磯原シーサイドホテル


続いては、北茨城市の『北茨城ロハス 磯原シーサイドホテル』総料理長の、政井 秀勝(まさい ひでかつ)さん。

ワーキンググループに参加し、地元北茨城市が持っている高品質な山の幸と海の幸、そして地元の伝統調理と文化を再度見直す必要性を感じたそうです。また、今回のプロジェクトを通じ、仲間ができたことで、これまで取引がなかった地元農家さんとのつながりが生まれました。農家さんの話を聞き、畑を見て、その場で野菜を味わうことで、これまでにないアイデアが湧き上がったそうです。

そのアイデアを形にした、地元で水揚げされるあんこうを用いた創作料理「常磐灘鮟鱇と有機露地栽培赤蕪のミルフィーユ仕立て」と「常磐灘鮟鱇どぶ汁仕立ての常陸秋蕎麦粉パイ包み焼き」。

常磐灘鮟鱇と有機露地栽培赤蕪のミルフィーユ仕立て

常磐灘鮟鱇どぶ汁仕立ての常陸秋蕎麦粉パイ包み焼き

地元特産の魚「メヒカリ」のアンチョビソースや、いわゆるシチューのパイ包み焼きとは違う、どぶ汁(北茨城市の郷土料理)仕立てのスープと蕎麦粉のパイ…。政井さんの熱い思いが伝わるプレゼン、そして「これは食べてみたい!」と思わせる料理でした。

日立・太田尻海岸 うのしまヴィラ


前半の最後は、日立市の『日立・太田尻海岸 うのしまヴィラ』館主の原田 実能(はらだ みのう)さん。原田さんは、まず日立市の地域性を探ることから始め、常陸国風土記の文献を紐解いたり、地元の歴史文化に詳しい方に話を聞きに行ったり…。そうして生まれたのは、「茨城県北は食物そのものが美味しい地域。それを大切にしていくこと」という考察。

そして、第3回ワーキンググループの際、講師の北沢正和氏が「(地域の食は)なるべく野にあるがままなるをどうやって食べてもらうか」と仰っていましたが、原田さんはなんと、土器も手作りし、旅館の目の前の海で採取した海水をその土器で煮詰め、自然塩までつくってしまいました!日立市北部の海岸に近い遺跡から製塩土器が多く出土していることに着目したそうです。

自ら土器を焼き、その土器で館前の海水を煮詰め、自家製堅塩をつくった

その自家製竪塩を使った、地元に多く存在する在来種の豆を主役にして作り上げられた料理「常陸海聴山聴協奏」は、まさにガストロノミー。その発想と行動力に審査員の全員がびっくりしていました。

豆と常陸野菜のポテ

常陸海聴山聴協奏

前半4組だけでも盛り上がりを見せた茨城県北ガストロノミーコンペティション。果たして後半の4組のプレゼンやいかに…?

後編に続く…