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県北の「潜在的な力」とチーム力(表彰式編)

茨城県北ガストロノミーコンペティション、8事業者それぞれに熱のこもったプレゼンテーションが終了しました。いよいよ審査結果の発表です。どのプレゼンテーションもレベルが高く、それぞれに個性的で内容も素晴らしかったため、審査員による審査も時間をオーバー。予定より少し遅れての発表となりました。

プレゼンを終えたメンバーの顔は、終わった安堵感と自分達が選ばれるかどうかという期待感が入り混じった表情をしています。

授与される賞は、『審査員特別賞』、地域の食文化の知識を身に着け、料理に表現している事業者に贈られる『地域食文化賞』、そして、地域の生産者との連携や、経済の循環に寄与している事業者に贈られる『地域取り組み賞』の、3つ。

まずは『地域取り組み賞』の発表から…

の予定でしたが、プレゼン内容を踏まえ、提案された新規メニューの「アイディア」が素晴らしい事業者に、急遽『レシピアイディア賞』が贈られることになりました!

【レシピアイデア賞 北茨城ロハス 磯原シーサイドホテル(北茨城市)】

レシピアイディア賞 北茨城ロハス 磯原シーサイドホテル

拍手と共に、プレゼンターを務めた総料理長の政井 秀勝(まさい ひでかつ)さん、支配人の福田 千春(ふくだ ちはる)さんが登壇。急遽、設けた賞のため賞状の授与が間に合いませんでしたが、2人とも晴れやかな表情。福田さんは、感極まった様子でこれまで試行錯誤で食材やメニューを工夫してきたことや、政井さんがいいものを持っているのに話下手でもったいない…ということをお話しされ、「政井さんよりもプレゼンがうまい」と、会場の笑いもしっかりと取っていました。

そして、『レシピアイディア賞』は、もう1組!

【レシピアイデア賞 横川温泉 元湯 山田屋旅館(常陸太田市)】

レシピアイディア賞 横川温泉 元湯 山田屋旅館

2組目は、山田屋旅館。館主、小林 康昭(こばやし やすあき)さんが登壇、表彰されます。プレゼンでは郷土料理の「つけけんちんそば」に着目し、オリジナリティの極めて高い創作料理3品を提案。そして、その流れで、「けんちんは、それぞれの具材の味が合わさって美味しくなる。けんちんのように、みんなで一丸となって地域を盛り上げていきましょう!」と、クールなポーカーフェイスながら熱い気持ちを壇上からぶつけられていました。

次は、『地域食文化賞』の発表です。

【地域食文化賞 日立・太田尻海岸 うのしまヴィラ(日立市)】

地域食文化賞 うのしまヴィラ

館主の原田 実能(はらだ みのう)さんは、地域の歴史や文化に着目し、常陸国の歴史文献を紐解き、茨城県北の食とは何かを自問。そして、そのひとつの答えとして、自館の目の前に広がる海水から自家製の自然塩をつくりだすという予想を超えたアクションを起こしました。奈良・平安時代に行われていた製塩のスタイルを踏襲し、海水を煮詰めるための土器を、なんと自分で焼くことから始めたのです。そして、その土器でつくられたミネラルたっぷりのほんのり甘い自然塩を使った料理を提案。地元の在来種の豆類を中心に地元の食材を自家製自然塩で調理するアプローチはまさに、地域食文化賞にふさわしいとの評価でした。

続いて、『地域取り組み賞』の発表です。

【地域取り組み賞 cucina NORD IBARAKI(日立市)】

地域取り組み賞 cucina NORD IBARAKI(クチーナ ノルド いばらき)

2017年にお店をオープンして以来、もともとガストロノミーを実践されてきている日立市のレストラン。今回の茨城県北ガストロノミープロジェクトのワーキンググループに参加して、さらなる地元食材の探求のため、生産者への定期的な訪問をさらに増やしたり、お客様と対話をしながらガストロノミーメニューの試作にチャレンジしたりと、しっかりと具体的な実践に落とし込まれているところが高く評価されました。地元の味噌蔵を訪ね,その“もろみ”を調味料として取り入れるアイデアも秀逸でした。

そして、いよいよ栄えある『審査員特別賞』の発表です。プレゼンターは、このワーキンググループを1年間にわたってプロデュースしてきた、雑誌「自遊人」編集長、そして、今回の審査員長でもある、岩佐十良(いわさ とおる)氏。こちらの『審査員特別賞』も『レシピアイディア賞』とおなじく2つの事業者の受賞となりました。

【審査員特別賞 日立・太田尻海岸 うのしまヴィラ(日立市)】
※『地域食文化賞』とのダブル受賞

審査員特別賞 うのしまヴィラ ※地域食文化賞とのダブル受賞

【審査員特別賞 cucina NORD IBARAKI(日立市)】
※『地域取り組み賞』とのダブル受賞

審査員特別賞 cucina NORD IBARAKI(クチーナ ノルド いばらき)※地域取り組み賞とダブル受賞

審査員特別賞を受賞した、うのしまヴィラ と cucina NORD IBARAKI の二つの事業者さんは、3月に開催予定の「茨城県北ガストロノミーツアー」にて、その訪問先として採用され、一般のお客様に、“茨城県北のガストロノミーを表現した料理”を提供していただきます。

茨城県北ガストロノミーワーキンググループプロデューサー・自遊人編集長の岩佐十良氏

最後に、審査員長の岩佐氏から、今回のコンペティションの講評をお話いただき、またワーキンググループのプロデューサーとして全体に関わっていただいた感想もあわせて、講評をいただきました。

以下は、コンペティション終了後に、岩佐氏が自身のfacebookページで投稿された内容を抜粋してお届けします。

 “…地域を元気にするためには一軒のレストランや宿の力だけではとても足りません。点の力を面にして、大きな渦にしていかないと、地方の衰退にはとても太刀打ちできないのです。だから、私にとって重要なのは個の力を伸ばすことも重要ですが、さらに重要なのが、その地域に「料理で地域を変えていく」という意識を持ったチームを作ること。そこで今回の目的も「プロジェクトにおけるワーキンググループをプロデュースする」なのです。

  計3回のワーキンググループは私のプロデュースで行われましたが、そこで最も大切にしたのが、料理の技術や表面的な技法を考えるのではなく「地域を知る」「情報交換する」「仲間とともに歩む」こと。

 茨城県北地域の食材を使用した料理を提供する飲食店、旅館・ホテル経営者やシェフが集まったワーキンググループ。初回は初対面という方も多く、かなりぎこちない会でしたが、回を重ね、懇親会を重ねるとともにお互いに打ち解け、最終的には将来の茨城に対して熱い議論が繰り広げられるまでになりました。

 そして昨日は、自らの店と地域との関わり合いをどのようにもち、どのように来訪者に茨城の魅力を伝えていくか、それぞれの施設で検討してきたことを発表するコンペティションが茨城県庁で行われたのですが、これが素晴らしい内容だったのです。

 歴史を紐解き、なんと塩作りから始め、新しい料理を作り上げた宿泊施設。地域との強固な連携を作り上げ、メニューを変えて、新しいコース料理を展開し始めたイタリアンレストラン。そのほか、地域の農産物で新たな名物を作る取り組みや、新しい地場産品を使ったレシピなどが次々に発表されました。

 正直、スタートした時には想像もしなかった展開。そして極めて高いクオリティー。茨城の「潜在的な力」を感じるのと同時に、チームで取り組むことの凄さを私自身が感じたのでした。″

(以上、岩佐十良氏のfacebookページより)

審査員特別賞受賞の2事業者(うのしまヴィラ・cucina NORD IBARAKI)を囲んで

 

受賞の有無にかかわらず、参加した皆さんのレベルの高いプレゼンテーションで素晴らしいコンペティションとなりました!

茨城県北地域をみんなで盛り上げていきましょう!「けんちんのようにひとつになろう!県北!オー!」

茨城県北ガストロノミープロジェクトのワーキンググループに参加し、今回のコンペティションでプレゼンテーションに臨んだ事業者の皆様、本当におつかれさまでした。また、当日ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!

“県北の郷土料理、「けんちん」は、ダイコン、ニンジン、ごぼう、しいたけ…といった食材が一緒になって深い味わいとコクが生まれ、そしておいしくなります。県北地域のみんなで力を合わせて協力していけば、「けんちん」のように魅力がもっと増すはずです。”by山田屋旅館館主・小林康昭

そして、小林さんの掛け声にあわせ、最後は参加者全員で、この言葉で締めくくりました。
『けんちんのように一つになろう!県北!オー!』

これからも、茨城県北ガストロノミープロジェクトは続いていきます。みんなで、茨城県北を盛り上げていきましょう!

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茨城県北ガストロノミーコンペティション(後編へ)

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