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岡倉天心と五浦

岡倉天心(1863-1913)は明治の美術を刷新した人物で、文部エリートとして美術行政にたずさわり、27 歳で東京美術学校校長となり、横山大観や菱田春草など芸術家を育成しました。

1898(明治31)年、スキャンダルで校長を辞して野に下りますが、大観らを従えて日本美術院を創設します。
そして、1903年、41歳の時に五浦の海に面する広大な土地を購入し、移り住みました。翌年、彼はアメリカのボストン美術館に職を得て、1913 年の死(享年50 歳)までの晩年の10 年間、五浦とボストンを往復する人生を送ります。

そんな生活の中で書かれたのが、1906 年の英文著作『茶の本 The Book of Tea 』でした。波打ち際に建設した「観瀾亭(六角堂)」から遠くアメリカを望む五浦の海を見つめながらこの本の思索が深められたに違いありません。人生はまるで「波に騒がしく揺すぶられる海の上の生活」と同じではないか、永遠に止まることのない「波のうねりの中にこそ喜びと美が存在している」、そんな言葉もみられます。

また、天心は釣りを愛好しました。五浦美術文化研究所には、彼の釣り人姿の木彫《五浦釣人》(平櫛田中作)と自身が設計した「龍王丸」が展示されています。都会を離れ、釣り糸を垂れながら世界の文化と自らの人生を瞑想した岡倉の生き方に、コロナ禍で疲弊する今日を生きる私たちも、多くのことを学ぶことができるでしょう。

五浦六角堂
茨城県北茨城市大津町五浦727-2

問い合わせ先:茨城大学五浦美術文化研究所 TEL:0293-46-0766
http://rokkakudo.izura.ibaraki.ac.jp

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